【特別ふろく】ミックスボイスについて

ミックスボイスとは何か?

 ミックスボイスの定義はいろいろありますが、大別すると2種類あるようです。
 1:裏声と地声とをなめらかにつなぐ声。
 2:特別な発声法によって出す特別な声。

 1の「裏声と地声とをなめらかにつなぐ声」について、わざわざ特別な名前を付ける必要性をぼくは感じていません。
 裏声と地声とをなめらかにつなぐ声なんて、ふつうにボイトレすれば身に付く、と考えているからです。
 ミックスボイスの定義は錯綜していますが、こういう当たり前の声に、わざわざ特別な名前を与えたことが、定義を錯綜させた原因だと思います。

 ヒラ社員を「社長」と呼ぶようなものですよね。
 夜の街で「社長」と呼んでれば冗談だとわかります。
 でも、ビジネスタイムでも「社長」と呼んでいれば、勘違いする人も出てきますよね。
 「あの人、無能な顔してるけど、本当は社長らしいよ~」
 「なんか、お金のチカラで、女優とつきあってるらしいよ~」
 「今度、プロ球団を買収するらしいよ~」

 周囲の人間が、あれこれ憶測して、話を大きくしていきます。
 人間というものは、話に尾ヒレを加えていく生き物ですからね。
 ミックスボイスも同じです。
 ふつうの声が魔法の声に…。

 いちばん最初にミックスボイスという呼称を使った先生は、1の「裏声と地声とをなめらかにつなぐ声」という意味で使ったのかもしれません。
 しかし、ふつうの人は、ふつうの声に名前なんか付けません。
 ふつうの人は、「わざわざ名前を付けるのだから、きっとミックスボイスというのは化け物みたいな声に違いない」と、疑心暗鬼になりました。

 ミックスボイスという名称だけが先行して、あれやこれや、どんな声なのかを類推し始めました。
 で、「ミックスというからには、きっと裏声と地声の混ざった声に違いない」という考え方が大勢を占めていきました。

 しかし、裏声と地声とは、けっして混ざりません。
 混ざらないのに、ミックスボイスという名称に引っ張られて、なんとか混ぜようとする努力がくり広げられました。
 不毛な努力です…。

 ほんと、混迷をまねく、罪作りな先生がいたものですね…。
 もう、こういう無意味な混乱は、終わらせたほうがいいです。
 混乱のもとを断ち切りましょう!

 2の「特別な発声法によって出す特別な声」のほうが、あえてわざわざ名前を付与するにふさわしい、と考えています。
 「特別」なのですから。
 あえて社長を「社長」と呼んでヒラ社員と区別する、という行為は、いたって自然なことですよね。

 ミックスボイスを出すには、ミックスボイスを出すための発声法をとればいいのです。
 たったこれだけで、ミックスボイスにまつわる定義の混乱が解消します。

 声練屋は、声質を発声法によってとらえています。
 つまり、地声は「地声発声法」というものによって出された声だ、ということです。
 同様に、裏声は裏声発声法によって出された声です。

 発声法が異なるのですから、裏声と地声とが混ざるわけないのです。
 もちろん、切り替えることはできます。
 切り替えを瞬間的におこない、なめらかにつながったように聞かせることも可能です。
 しかし、時々刻々に考えれば、裏声は裏声発声法によって出されますし地声は地声発声法によって出されます。

 ミックスボイスは、ミックスボイス発声法によって出されます。
 これが、いちばん自然な考え方だと思います。

 ただ、ミックスボイスという呼称による混乱を避けるため、ぼくはミックスボイスを別名で呼んでいます。
「コンプレッション ボイス」です。
加圧ボイス、ということです。
 コンプレッションボイスについては、こちらのページをご覧ください。
https://voicing.koeneriya.com/?page_id=27