「自分にとって最もふさわしい声質の獲得」を声練屋は目標として掲げています。
声質とは、なんらかの「機序」によってとらえられた声のことです。
機序、つまり、あそこをああすればこうなる、という物事の仕組みの順序立てですね。
発声器官をあんなふう動かすと、こんな声が出る。
こんなふうに動かすと、あんな声が出る。
たとえば、声帯を過伸展させると「裏声」が出る。
これは、もうほとんど全員に起こる機序です。
因果関係がハッキリしているのですね。
ただ、機序という言葉は、あまり一般的な言葉ではないですよね。
これを「フォーム」という用語に改めます。
野球におけるピッチングフォームとかバッティングフォームの「フォーム」です。
発声器官の、あそこをああやって、そんなふうにすると、こんな声が出る。
これを、機序という珍しい言葉ではなく、フォームというなじみのある言葉で表現しようと思います。
あるいは、もっと単純に、「発声法」と呼ぶこととします。
たとえば、裏声を出すには、声帯を過伸展させる必要があります。
声帯のフォームを変化させるのですね。
この一連の動作をまとめて「裏声発声法」と呼びたいのです。
と言いますか、「裏声」自体が「裏声発声法」のことです。
なぜなら声練屋は、発声法が変われば出てくる声質も変わる、と考えているからです。
つまり、七色の声を出すということは、7つのフォームで動くということです。
七色の声を手に入れるということは、7つの発声法を修得するということを意味します。
声イコール発声法なのです。
一般的なボイトレでは、たとえば「腹式発声法で裏声を出す」などといった表現をすることがあります。
厳密に考えると、これはまちがった表現でしょう。
裏声を出すのは裏声発声法だからです。
しかし、まぁ、言語表現としては日常会話化している表現ですので、無下にもできません。
このWebサイトでも厳密さを必要としない場面では、サラッと使用することもあるでしょう。
しかし、声練屋における発声法とは、こういった一般的なボイトレでの発声法とは、多少意味合いが異なることをおぼえておいて下さい。
さて、七色の声についてです。
実際のところ、発声法は7つどころではないです、
もっともっとたくさんあります。
いつか、おいおい語れればいいなと思っていますが、ここでは要望の多い「高音」の出しやすい発声法をメインにして選んでみました。
やっぱり、今は高い声が流行ってますものね。
なので、たとえばハスキーボイスはとても主要な声ですけども、今回は外しています。
ハスキーボイスで高音を出すこともありますが、ハスキーボイスだから高音が出しやすくなる訳ではないからです。
では、次ページ以降、いろいろな声についてを述べていきます。
まずは、基本中の基本、地声です。