発声法指南<その1>地声

●地声

 地声とは、なにも意識することなく、ごく自然に出る声のことです。
 まさしくナチュラルボーン、生まれつきの声であり、その人の個性が最もあらわれます。

 しかし、現在のJ-POPでは、地声そのままで歌うことは、とても少なくなりました。
 裏声をまぜたり、意識的に作り込んだ声を駆使したり、デスボイスのような荒技を取り入れたり。
 地声はナチュラルなため、ケロケロなど昨今のエフェクト強めの歌声や、あるいはボーカロイドなんかと比べ、ナチュラル過ぎるきらいがあります。
 地声そのまんまは、インパクトがない、キャラ立てが薄いなどといった弱点があるのでしょう。

 とはいえ、やはり地声が基本中の基本であることに変わりはありません。
 これ以降、さまざまなタイプの声を述べていきますが、すべて地声発声から派生します。
 つねに地声に立ち返るのです。
 野球のピッチングにたとえるならば、地声は直球です。
 カーブやフォークなど、どれほど素晴らしい変化球も、直球に威力がなければ無意味です。
 ゆめゆめ地声をおろそかになさらないで下さい。

 地声は、何も考えず、自然で無意識のまんまで出る声です。
 しかし、ここに落とし穴があります。
 自然な状態を意識するのは、じつはとても難しいのです。

 たとえば演劇などでは、「自然に笑って」といった演技を求められるのが、いちばん難しいらしいです。
 「バカみたいに爆笑して」とか、「冷たく見下すように笑って」といった演技を要求されたほうが何倍も簡単らしいのです。
 笑うという動作を意識したとたん、自然な笑いではなくなるからです。

 地声も同じです。
 自然な地声を出そうと意識したとたん、自然な状態から離れてしまいます。
 とくに、「自分の声はどこか変じゃないか?」などと考えたことのある人ほど危ないです。
 ふだんの喋り声からして、意識して無理に発声している危険性が高いからです。
 こういう人は、もう、何がナチュラルなのか自分でもわからなくなっている場合があります。

 こういう人に、「発声法の基準点は地声です。」
 「いったん地声に立ち返りましょう。」
 と言ったところで、戻りたくても戻れません。
 地声があやふやだからです。

 いま、あなたは大丈夫でしょうか?
 自然な地声を、ご自身で把握できていますか?
 Webサイトによるボイトレの限界として、こちらではこれを読んでいるあなたの現状が分かりません。

 イップスで悩んでいるスポーツ選手がたくさん存在しているように、自然な動作を取り戻す方法論は、簡単には述べられません。
 ひとりひとりによって症状が異なるでしょうし、改善方法も変わってくるでしょう。
 「自然な地声」の問題は、これを読んでいるすべての人がクリアしていると見なして、先に進みます。
 気になる方は、個人指導されているボイトレ教室へ通われたほうがいいかもしれません。

 ★声練屋、地声動画
 →https://youtu.be/PgnCO0Nf1JQ

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