高い声の出し方<2>裏声

●裏声

 裏声とは、地声をオモテと考えた場合のウラの声のことです。

 自然な地声の音高をだんだんと上げていくと、ある程度の高さ以上で、ひっくり返るかのように声の質が変わります。
 これが裏声です。

 ひっくり返らずとも音高を上げられるタイプの声もあるのですが、それは先の話。
 前のページでも述べた「自然な地声」ならば、ある程度以上の音の高さになれば、必ず裏声になります。

 「ひっくり返るかのように」というのは体感ですので、個人差があるでしょう。
 科学的に表現するのならば、声帯が過伸展される、と言えます。
 しかし残念ながら、現状では、声帯を目視しながら歌うことはできません。
 未来のテクノロジーならば、そんなことも可能かもしれませんが、今は体感イメージに頼ることが多くなります。

 しかし、身体操作においては、体感イメージというのはとても大事です。
 たとえばプロ野球の世界では、昔とくらべて、かなり科学的なフォーム解析がおこなわれるようになりました。
 その解析結果には、体感イメージとはまったく異なる動作をしていたケースもあります。
 しかし、それでもなお、科学的なフォーム解析で得られる結果よりも、自分自身で得た体感イメージのほうを優先していく場合があります。
 ピッチングのフォーシームは、解析では押し出すように投げているが、投手側のイメージでは切るように投げている、などです。

 先ほども申した通り、体感イメージには個人差があります。
 体感イメージが、身体操作においてどれほど大事だとしても、すべて全部を他人と共有することは不可能なのです。
 ぼくにはこう感じられるけれど、あなたにはあんなふうに感じられる。
 そんなケースが多々あります。

 裏声ぐらいならば、かなりなじみのある声ですので、体感イメージにもなじみのあるものが多いでしょう。
 しかし、これ以降に述べる声のタイプによっては、あまり知らないものもあるかもしれません。
 体感イメージが共有できなくなる場合もあるでしょう。

 やはりこれもWebボイトレの限界です。
 体感イメージが共有できずに、あちこちWebボイトレを渡り歩く人も多いらしいです。
 せっかくWebボイトレの講師が良いことを言っているのに、「何を言っているのかわかんねえ」「さっぱりイメージできねえ」とか愚痴りながら…。

 基本的に、ボイトレ講師は同じことを教えています。
 J-POP系、声楽系、演歌系などなど、よって立つ基盤によって、得手不得手があったり、弱み強みがあったりします。
 しかしテクニカルなことは、ほぼ同じです。
 あえて違いを強調するなら、考え方の違いですね。
 声質さえ良ければ音程やリズムなんてメチャクチャでもかまわない、っていう声練屋の主張はかなり異端ですが、それでもこの主張以外の発声法に関しては、いたって普通です。
 ボイトレ講師は大同小異と言っていいでしょう。

 ではなぜボイトレ教室を渡り歩く人がいるのか?
 体感イメージの表現が異なるのです。
 講師は、自分の身体をもちいて、自分の身体で感じたイメージを言語表現化します。
 それが伝わるかどうかは、あなた次第なのです。
 体感イメージには個人差があるからです。

 「歌う」という動作は身体操作です。
 身体操作は体感イメージが大事になってきます。
 いや、むしろ、体感イメージがすべてかもしれません。

 ちなみに、変声期まっただ中の少年男子は、裏声を出すことが難しい場合もあるでしょう。
 少年の声帯そのものに器質的な問題が起こっているケースもあるかもしれません。
 しかし、変声期に声がおかしくなる最大の理由は、声帯の成長に神経の成長が追いつかないためだろうと思います。
 神経ネットワークが混乱するほど、急激に声帯が変化しているのです。

 たとえるなら、文字キーボードの配列が毎日変化するようなものです。
 昨日は「あ」を打とうとしたら「へ」が出た。
 今日は「あ」を打とうとしたら「さ」が出た。
 …みたいな。
 毎日ぐちゃぐちゃで、大混乱になると思います。
 変声期の声帯の神経も、毎日、大混乱になっているのです。

 なので、一般的には、声帯の成長が落ち着くまで裏声は控えるべし、と言われています。
 毎日配列の変わるキーボードの並び順をおぼえたって意味ないよ。
 配列が変わらなくなったら、その時に並び順をおぼえれば良い、って。
 そのほうが安全ですからね。

 まぁ、ぼくが中学生なら毎日歌いますけど…。
 逆に、神経のほうに追い込みをかけますね。
 若ければ若いほど、なおさら…。
 とはいえ、これを他人へは、おすすめできません。

 ★声練屋、裏声動画
 →https://youtu.be/ou0-ZCxqmP4

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