高い声の出し方<3>トゥワング

●トゥワング

 トゥワングは、知らない人にとっては、魔法の発声法です。
 今まで出せなかった音高が、トゥワングで歌うだけで、簡単に出せるようになります。
 もちろん、出せる高さには限界がありますけと、カラオケのキーの2つ3つは、簡単に上げられるようになりますよ。

 とはいえ、トゥワングを使っている人は多いです。
 むしろ、現在のJ-POPにおいては、必須の発声法と言っていいぐらいです。
 プロ歌手のマネをすることの多い人は、たとえトゥワングという言葉を知らなくても、知らず知らずのうちに使っているかもしれません。
 そういう方々にとってトゥワングは魔法の発声法にはなりませんが、後学のためにも、読み飛ばさないで下さいね。

 トゥワングとは、鼻にかけた声のことです。
 軟口蓋という、口腔と鼻腔とのあいだにあるフタを、空けたままにして出す声、と言ったほうが分かりやすいかもしれません。

 昔から、落語などの演芸で使われていた発声法で、マヌケなキャラクターを表現する場合に多用されました。
 年配の方なら、「え、鳳啓助でございます!」というモノマネを試した経験があることでしょう。
 最近では、千鳥の大悟さんが、智弁和歌山を宿泊させたがる旅館の女将役などの漫才で、この発声法をよく使っています。

 歌唱の世界でも、たとえば橋幸夫さんなど、古くから使われていました。
 しかし、J-POPでカッコ良くキメたのが、ミスチルの桜井和寿さんです。
 桜井さん以降、トゥワングを使うボーカリストは爆発的に増えました。
 現在の代表格は、米津玄師さんでしょう。
 トゥワングは、簡単に高音が出るしカッコいいしで、増えたのも当然かもしれません。
 むしろ今は、J-POPシンガーの全員がトゥワングを駆使していて、使ってない人がいないと言っても過言ではないくらいです。
 (過言ですね…。)

 『猫』が大ヒットしたDISH北村匠海さんも、このトゥワングを使っています。
 わたくし声練屋は、地声で歌うと、『猫』の最高音が出ません。
 でも、トゥワングで歌うと出ます。
 たぶん、ほとんどの男性は、自然な地声では『猫』の最高音は出ないだろうと思います。
 ところが、トゥワングで歌うと、いとも簡単に出るようになります。
 この歌は、トゥワングの効果を知る実験として最適です。
 「自然な地声」とトゥワングとの違いを、ぜひあなたも試してみて下さい。

 トゥワングは軟口蓋を上げるのですけれども、意識する部位は軟口蓋ではありません。
 上唇です。
 上唇の両端を、まるくして、歯と唇とのあいだに空洞を作るようにします。

 無限大のマークがありますよね?
 「∞」こんなやつ。
 これを口の中に放り投げるイメージです。
 唇と歯のあいだに、「∞」の型枠をはめ込んで歌う、といった体感イメージです。
 これで軟口蓋が上がるようになります。

 アナウンサーさんがよくやる、割りばしを横にして、くわえながら喋るトレーニングにも、軟口蓋を上げて響きを良くする効果があります。
 もし無限大のマーク「∞」をイメージしても上唇が丸く上がってこない人は、口まわりの筋肉が未発達の可能性があります。
 しばらく割りばしトレーニングを続けてみて下さい。

 軟口蓋が挙上できるようになると、呼気が鼻腔へと流れるようになります。
 声を前へ押し出す癖のある人は、声を引きぎみにし、頭上ななめうしろへ呼気を流すイメージをして下さい。
 実際に声は頭上からは出ないのですけど、身体操作においてイメージは大事です。
 イメージをないがしろにされないようお願いいたします。

 ★声練屋、トゥワング動画
 →https://youtu.be/OvpsYRD-xJg

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