高い声の出し方<7>エリトラムボイス

●エリトラムボイス

 「エリトラムボイス」は、声練屋の造語です。
 一般的には「ヘッドボイス」と言われているようです。

 裏声にもさまざまな発声法がありますが、一般的には、弱々しい裏声が出る声区よりも高音域に、力強く発声できる領域があると考えられています。
 この声区のことをヘッドボイスと呼んでいる方々がいます。
 声練屋はこの考え方にはくみしないため、ヘッドボイスという呼称をつかいたくないのです。

 「声区」は、教育的な西洋音楽における古典概念です。
 ずばり、古くさい考えなのです。
 ポップス歌唱においては何の意味も持ちません。

 声練屋は、声区ではなく、発声法の違いにより声の種類を考えています。
 古い西洋音楽の概念のヘッドボイスは高音でなければなりませんが、エリトラムボイスは高音で低音でもエリトラムボイスに変わりありません。
 ヘッドボイスは強い発声でなければなりませんが、エリトラムボイスは弱く発声しても強く発声してもエリトラムボイスに変わりないのです。
 このシンプルさが、発声法により声を捉えることの強みです。

 裏声の中で、ふつうの人がふつうに出る、弱々しい裏声のことを一般的に「ファルセット」と呼んでいます。
 厳密に考えればファルセットも、また、いくつかに細分化されるのですけど、煩雑になるので省略します。
 声練屋では、特に何も意識せず、自然に出る裏声のことを「ファルセット」と呼びたいと考えています。
 「自然な地声」に相対する「自然な裏声」といった位置づけです。

 エリトラムボイスは、自然な裏声よりも迫力のある声になります。
 もちろん弱く発声することもできるのですけど、それでもなお、ファルセットよりも深みのある声になります。

 動画をよく聴きくらべていただけると、お分かりになるでしょう。
 ファルセットのほうは、ツルッとした取っ掛かりのない声です。
 しかしエリトラムボイスのほうは、かすかに汽笛のような、ボォーッと吹き上がるかのような残響音が聞こえるだろうと思います。
 コーラなどの空きビンに息を吹きかけて、ボォーッと鳴らした経験のある人は多いことでしょう。
 あんな感じの、空洞を音が周回するような残響音です。

 これは、「仮声帯」を使っているからです。
 サビ甲でも述べたとおり、仮声帯は発声において重要アイテムです。
 サビ甲では仮声帯を立てましたが、エリトラムボイスでは仮声帯をまるくドーム状にします。
 仮声帯は2枚なので、カブトムシの「さやばね」みたいにする体感イメージです。
 本当に仮声帯がまるくふくらんでいるかどうかは、わかりません。
 これも、ファイバースコープで見たわけではないので、あくまでもイメージです。

 エリトラムボイスが使えるようになると、かなりの高音をかなりの声量で発声することが可能になります。
 裏声は裏声なので、好みは別れるかもしれません。
 あなたは「地声ぢゃなきゃ」的なこだわりを持っていますか?
 そうでなければ、エリトラムボイスは有効な選択肢になると思います。

 ★声練屋、エリトラムボイス動画
 →https://youtu.be/CGHmctzCT6M

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